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by holistic-medicine | 2010-11-19 14:13 | 南日本支部
広島事務局セミナー報告 「緩和ケアの現状」
2010/11/12 広島事務局主催 健康セミナー報告
緩和ケアの現状
講師:城仙 泰一郎先生

d0160105_14113366.jpg日本ホリスティック医学協会広島事務局主催の「健康セミナー」を開催した。
今回も盛況のうちに終了することができた。回数を重ねるごとに、
セミナーへの参加者も増加してきている。




今回の講師は、広島パークヒル病院緩和ケアセンター長の、城仙(じょうせん)先生。
広島で独立系ホスピス病院のたちあげを9年前に創始者的に始められた。
広島における、ホスピスケアの第一人者的存在。

そんな先生が、ご講演の前の30分間、がんの末期患者さんへの前向きなケアにも
使われている、中国の楽器・ニ胡による演奏もしていただいた。
先生の言葉を借りると、「ウェルカム・コンサート」。
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9年間で700人以上の方を見送ってこられた先生のお話からは、
私たちが普段接っすることの少ない、緩和ケアの現状が伝わってきた。

先生は、「生きる望みを引き出すのが、緩和ケアの最大の目的」と言われている。
「安らかな死」を、迎えるためではなく、小さくても今日という一日を生き切る、
といったことにサポートするのが、緩和ケアであると述べられた。

また、「友人がガンだと宣告された。どのような言葉がけをしたらいいのでしょうか?」
との、会場からの質問に対しては・・・。
「言葉って大事ですよね。」「まず、慌てない、焦らない、」という言葉がけは大切。
その上で、むやみに「励ます」のではなく、状況に応じて、まず、「自然の流れを、受け入れる」、
「人生において、成り行きというものを見つめなおす」といったような言葉がけが大切である。

また、死期を迎えた患者さんへの「音楽」や「調べ」によるサポートは、
どのようなものが好まれるのだろうか?という質問に対しては、
「二胡」や「和の横笛、篠笛」「ハープ」「フルート」などの楽器が好まれる。
ピアノなどの打楽器はあまり好まれない・・。そして70歳代から80歳代の
患者さんが多いせいか、
「美空ひばり」さんの演歌などがいいそうである。

意外にも童謡や唱歌などは好まれないそうである。
また、「千の風になって」は、一番ダメだしの曲だそうだ。
この曲は、すでに身内が亡くなった方の悲嘆に共感するメロディーなので、
まだ今日という一日を懸命に生きようとする患者、またその家族には、
不向きだそうだ。

個人的なことだが、昨日まで、比叡山にいた。延暦寺で「千日回峰」の本とDVDを買ってきた。
今日の日中、ちょっと時間があったので、そのDVDを見ていた。
千日回峰とは、「死からの再生」であるという。
だから、行者は死に装束である、白無垢の着物を羽織る。

荒行で、生死の境をさまようことで、おそらく、疑似臨死体験をするのであろう。
仏の世界を垣間見るのである。
だから、信者は、その行者の姿に「仏の化身」を感じるのであろう。

城仙先生は言う、「ホスピスは死に場所ではなく、今日という一日を懸命に
生ききる場所」であり、そこで働くスタッフは、「生きるための希望」を
共有する仲間である、と。

千日回峰は、7年間で1000日弱の荒行をすることをいう。
その前半は、自分の為の修行らしい。
その自分の為の荒行を終了した者のみが、後半からの「他人の為の修行」
期間に入れるという。

ホリスティック医学協会広島事務局の本年から来年へのミニテーマは、
「死と生を見つめなおす」ということにしている。

もしかすると、比叡山の千日回峰は、荒れた社会や人心へのホスピスケアの
担い手を養成するプログラムではなかったのだろうか。
そう考えると、城仙先生は、さしずめ現代の阿闍梨(あじゃり)的存在
なのかもしれないな、と延暦寺の朝の勤行を思い出していたのである。

(報告:広島事務局長 清水)