ホリスティック通信

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NPO法人日本ホリスティック医学協会 Blog


by ホリ協

広島事務局セミナー報告 「緩和ケアの現状」


2010/11/12 広島事務局主催 健康セミナー報告
緩和ケアの現状
講師:城仙 泰一郎先生

広島事務局セミナー報告 「緩和ケアの現状」_d0160105_14113366.jpg日本ホリスティック医学協会広島事務局主催の「健康セミナー」を開催した。
今回も盛況のうちに終了することができた。回数を重ねるごとに、
セミナーへの参加者も増加してきている。




今回の講師は、広島パークヒル病院緩和ケアセンター長の、城仙(じょうせん)先生。
広島で独立系ホスピス病院のたちあげを9年前に創始者的に始められた。
広島における、ホスピスケアの第一人者的存在。

そんな先生が、ご講演の前の30分間、がんの末期患者さんへの前向きなケアにも
使われている、中国の楽器・ニ胡による演奏もしていただいた。
先生の言葉を借りると、「ウェルカム・コンサート」。
広島事務局セミナー報告 「緩和ケアの現状」_d0160105_1412401.jpg

9年間で700人以上の方を見送ってこられた先生のお話からは、
私たちが普段接っすることの少ない、緩和ケアの現状が伝わってきた。

先生は、「生きる望みを引き出すのが、緩和ケアの最大の目的」と言われている。
「安らかな死」を、迎えるためではなく、小さくても今日という一日を生き切る、
といったことにサポートするのが、緩和ケアであると述べられた。

また、「友人がガンだと宣告された。どのような言葉がけをしたらいいのでしょうか?」
との、会場からの質問に対しては・・・。
「言葉って大事ですよね。」「まず、慌てない、焦らない、」という言葉がけは大切。
その上で、むやみに「励ます」のではなく、状況に応じて、まず、「自然の流れを、受け入れる」、
「人生において、成り行きというものを見つめなおす」といったような言葉がけが大切である。

また、死期を迎えた患者さんへの「音楽」や「調べ」によるサポートは、
どのようなものが好まれるのだろうか?という質問に対しては、
「二胡」や「和の横笛、篠笛」「ハープ」「フルート」などの楽器が好まれる。
ピアノなどの打楽器はあまり好まれない・・。そして70歳代から80歳代の
患者さんが多いせいか、
「美空ひばり」さんの演歌などがいいそうである。

意外にも童謡や唱歌などは好まれないそうである。
また、「千の風になって」は、一番ダメだしの曲だそうだ。
この曲は、すでに身内が亡くなった方の悲嘆に共感するメロディーなので、
まだ今日という一日を懸命に生きようとする患者、またその家族には、
不向きだそうだ。

個人的なことだが、昨日まで、比叡山にいた。延暦寺で「千日回峰」の本とDVDを買ってきた。
今日の日中、ちょっと時間があったので、そのDVDを見ていた。
千日回峰とは、「死からの再生」であるという。
だから、行者は死に装束である、白無垢の着物を羽織る。

荒行で、生死の境をさまようことで、おそらく、疑似臨死体験をするのであろう。
仏の世界を垣間見るのである。
だから、信者は、その行者の姿に「仏の化身」を感じるのであろう。

城仙先生は言う、「ホスピスは死に場所ではなく、今日という一日を懸命に
生ききる場所」であり、そこで働くスタッフは、「生きるための希望」を
共有する仲間である、と。

千日回峰は、7年間で1000日弱の荒行をすることをいう。
その前半は、自分の為の修行らしい。
その自分の為の荒行を終了した者のみが、後半からの「他人の為の修行」
期間に入れるという。

ホリスティック医学協会広島事務局の本年から来年へのミニテーマは、
「死と生を見つめなおす」ということにしている。

もしかすると、比叡山の千日回峰は、荒れた社会や人心へのホスピスケアの
担い手を養成するプログラムではなかったのだろうか。
そう考えると、城仙先生は、さしずめ現代の阿闍梨(あじゃり)的存在
なのかもしれないな、と延暦寺の朝の勤行を思い出していたのである。

(報告:広島事務局長 清水)
by holistic-medicine | 2010-11-19 14:13 | 広島事務局